施工(せこう)と、竣工(しゅんこう)の違いは、あまり馴染みのない方には明確に区別することや使い方が苦手な人もおられるのではないでしょうか。
「施工」を『しこう』とは読みません。『しこう』と読む施行は、法律用語で、新たに制定された法律を開始することを意味します。
では「施工」と「竣工」にはどのような意味に違いがあるのでしょうか。
施工と竣工の違い
施工は工事をすること、竣工は工事が終了することです。
「施工」は工事をしている進行形で用いられていることを表します。
街中で、工事が行われている状態を良く目にすることがありますが、それを「施工」と言います。
「竣工」は、工事や、検査がすべて完了し、施主の手に渡ったことを表します。
間違えられるのは、建物が出来上がった瞬間が竣工ではなく、検査が終了し、施主が使える状態になった時のこととなるので、間違えないようにしてください。
「竣工」の反対語は「着工」
「竣工」は工事が終わること、建物が完成したことを意味する一方、「着工(ちゃっこう)」とは、工事自体が始まることを意味します。
「しゅんこう」を表す漢字は全部で4通り
「竣工」という言葉は他に、「竣功」とも表現できます。
しかし、両方とも正解です。
法人ごとなどで決まっている場合もあるので、気にしなくて良いです。
「しゅん工」もしくは「しゅん功」と、『しゅん』の部分を平仮名で表す場合があります。
2つの「しゅん工」と「しゅん功」は同じ意味ですが、あえて『しゅん』を平仮名で表しているのです。
役所工事には平仮名で「しゅん」を表す
役所工事は通称、「公共工事」と表現しています。
市町村や、国が発注する、いわゆる税金で建てられているものです。
これは『竣』ということばが常用漢字ではない為、公共工事では使用されないことが要因です。建物ではあまり目にする機会は少ないですが、橋やトンネルは公共工事となりますので、よく見てみると、「しゅん工」もしくは「しゅん功」となっています。
JRなどの旧国営企業も、昔のなごりを受けて、「しゅん」が平仮名で表されています。
もちろん、一般の工事(民間工事)で用いられていても間違いではありません。
建物を作るには「設計図」と「施工図」が必要となる
「設計図」は建物を作るにあたり、一番最初に作図される図面であり、建物全体のでき上り寸法が描かれている図面です。
設計図書とも言います。
しかし、設計図には細かい寸法が載っていない部分があります。
下地の位置や、細かい建物の隠蔽部にあたる“目には見えてこない”部分です。
設計図だけで建物を作るわけではなく必ず施工図も必要となります。
施工図には、“目には見えていない重要なところ”の寸法が細かく表現されています。
上記の図面は施工図で、なかでも『平面詳細図』と言われている図面です。平面詳細図は、階ごと、広い建物の場合はさらにエリアごとに分かれています。
かなり細かく記されており、工事現場内で一目でわかるように作図されています。
「竣工図」は実際に建てられた建物の図面
建設している間、施主の事情や、もともとの設計図に無理があった場合、設計図と変更して建物を作る場合があります。
当初の設計図通りの建物を作るのはマレです。
竣工時、もともとの設計図を、実際に作った建物の寸法等に直した図面が「竣工図」です。
上の図面は竣工図ですが、『設計図』と見た目は変わりません。
住宅の場合は、完成後の書類一式(住宅メーカーによって異なる)に含まれていますが、その他の法人向け建築などの中規模以上の物件であれば、以下の画像のような『竣工図』として冊子が付与されます。
「竣工図」は竣工後のリフォームや点検に必要
リフォームしたい場合に竣工図が必須です。
また、建物で不具合が生じた場合も竣工図により、不具合の原因を探ることができます。
施工と竣工の違いを知ることでトラブル回避
用語の意味や使い分けを詳しく知っておくと、スムーズに打ち合わせや契約に進むことができます。
用語の使い分けを詳しく知っていた方が、トラブルに繋がりにくいです。
同じような言葉でも違う意味となりますので、家を建てる際などには十分に注意して契約するようにしてください。